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この死だけはどうしても受け入れられない [日常日記]

娘が亡くなった。
明るい陽ざしの中を、周り一面に、笑顔を振りまいて、
トパーズ色の風と共に駆け抜けて行ってしまった。
そうさ、お前は僕の自慢のむすめだったさ。


僕らに親として生きる事の幸せを教えてくれた。
素直で優しく、何事も一生懸命に取り組む素晴らしい子だった。
運動音痴の僕とは違い、体力にも恵まれていて駆けっこも早かった。
心身ともに健康とはお前のためにあるような言葉だった。
そうさ、お前は僕の自慢のむすめだったさ。

小さい時から器量が良かった。
周りの人が振り向いて、可愛いねと声をかけてくれる度に僕は鼻高々だった。
イリノイの古い田舎町に住んだ時、
初めてのアジア人に対する冷たい視線が
暖かく変わったのはお前の笑顔があったからこそだ。
「日本人の子はきれいだね」とあちこちで聞いた。
そうさ、お前は僕の自慢のむすめだったさ。

せっかくの勉強がもったいないなと思ったけど、
結婚して素晴らしい孫たちを生んでくれた。
孫たちはお前と同じように元気で優しい。
楽しそうに学校に行き、しっかりと勉強もする孫たちに目を細め、
母親としてのお前に満足感を持った。
そうさ、お前は僕の自慢のむすめだったさ。

子育て10年の後に、また働きたいと言い出した。
社会人公募の採用でいきなり最年少の課長補佐だよ。
見事な復帰の仕方だった。
活躍を新聞などで見るたびに切り抜いたりして楽しんだよ。
そうさ、お前は僕の自慢のむすめだったさ。

僕の体調が悪くなり、連れ合いが入院した時も毎日、往復60㎞をいとわず来てくれた。
僕の病院通いはお前に助けられてのものだった。
病院のスタッフによくやる娘さんだねと言われるたびに、ぼくも嬉しかった。
そうさ、お前は僕の自慢のむすめだったさ。

乳がんが全身骨転移、肝臓に、さらに脳髄に。
元気そうに見えたけど本当は僕よりずっと重体だった。
ぼくと同じ日に入院したのだが、あっという間だった。
最後は、まただれもが癒されるあの笑顔を思わせる安らかな顔になったという。
そうさ、お前は僕の自慢のむすめだったさ。


「先に逝くなんて私は親不孝だね」
そんなことがあるものか。お前は何一つ悪くない。
幸せに生きるあらゆる要素を準備してきたたお前が、
なぜ41年で人生を中断しなければならないのだ。
僕はこの死を、どうしても、どうしても受け入れられない。
悪い夢だ。悪い夢に違いない。

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コメント 8

YAMA

 なんということだ。

 私にも娘が居ます。先に逝かれてしまうというのは想像するだに苦しい。
 心よりお悔やみ申し上げます。

 
by YAMA (2018-06-15 14:16) 

びこ

心よりお悔み申し上げます。
by びこ (2018-06-16 06:46) 

おら

YAMAさま、いつも励ましありがとうございます。びこさま、コメント感謝します。自分が入院中で何も声掛けしてやれなかったことが悔やまれてなりません。
by おら (2018-06-16 07:34) 

tati

おら様
心からお悔やみ申し上げます。
by tati (2018-06-16 20:27) 

神無月

おら様

前回の記事で娘さんの入院も書かれていましたが、
まさか!こんな展開になるとは・・・。

心よりお悔やみ申し上げます。

by 神無月 (2018-06-16 20:35) 

おら

tati様、神無月さま、
口コミで訃報が伝わったようで、200人以上の人たちがきてくださり、葬儀の会場が溢れたということです。娘の親しまれる性格を実感するとともに、僕の胸に改めて悔しさがつのりました。
by おら (2018-06-17 15:16) 

みいちゃん

こんばんわ、神様いないのかな、私たちより娘さんが先に亡くらられるなんて、うそでしょう、言ってしまいます、私にも娘がいます何かと私の事心配して、色々な病院を探して連れて行ってくれます、聞いただけでも涙が出てきてしまいますね、未だ子供さんも小さいでしょうに、死んできっと死にきれなかったでしょうね、本当に大変でしたね、おらさんも気を落とされないで、娘さんの分まで長生きして、お孫さんたちが成人するまで頑張ってくださいね、本当になんて言って声を掛ければよいかわからないので、お互いに頑張りましょうね、おやすみなさい
by みいちゃん (2018-06-18 19:55) 

とこ爺

私にも二人の娘がいますが、それよりも若いお嬢さんだったのですね。言葉がありません。心よりお悔やみ申し上げます。月並みですが、この不幸を乗り越えておらさんも生き抜いてください。娘さんもそれを願っているでしょう。
by とこ爺 (2018-06-21 13:52) 

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