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夏の日にひとりで迎える古希の朝 [日常日記]

今日僕は70歳になった。連れ合いは入院中であり家の中には一人しかいない。そういえば還暦の朝も僕は一人で病院のベッドに寝ていた。間質性肺炎の急性増悪の最中だったからだ。あれから10年を生き延びたことになる。あの時立てた父の年齢を超えるという目標にあと2年まで近づいている。

酒債尋常行處有人生七十古來稀。古希という言葉の由来となった杜甫の詩だが、酒代の借金だらけだけどかまうものか、どうせ70歳まで生きることはめったにないのだから今のうちに楽しむべきは楽しんでおかねばと言う内容だ。そのめったにないことに到達したのだから幸運というべきだろう。

統計でみると、僕の同世代の男は70歳までに1/4が死んでいる。幼なじみの友人には60歳前後で亡くなったやつが多い。ちっ、顔を思い浮かべてみると若くて元気な姿しか思い浮かばない。大学の同級生は不思議とみんな元気で、いまだ現役で活躍している奴も結構いる。しかし、今後80歳までに半数が死ぬことになるはずだ。僕もその一人だろう。

連れ合いの入院は二回目である。正直、一回目の入院は僕も困った。なにしろ、家事は全て彼女に頼っていて、僕は買い物すらしたことがなく、どう生活したらいいかわからなくて不安だった。今回は違う。毎日食事も作っているし、昨日は洗濯機も回した。彼女の体調不良で僕も訓練されてしまったから、何でもできて生活に不安はない。

それが悲しい。洗濯した着替えを病院に持って行ったら「ありがとう」と言われてしまった。僕はこれまで「ありがとう」などと言われることをしたことがなく、「どうしてこんなことができないの、ダメねえ」と言われるばかりだった。自然と出来上がった家の中の役割で、僕はダメな夫でいることが心地よかったのではないだろうか。まあ、彼女に甘えて過ごしていたということだ。

今日からカイプロリスの点滴が始まる。心臓への負担をモニターするための入院だが、担当医との面談で、副作用が軽いわけでもなく、効果があったとしても、体力的に自家幹細胞移植は難しいかも知れないと言われてしまった。抗がん剤投与と副作用との戦いが際限なく続くというのはあまりにも厳しい。

強い倦怠感で、読むことも、聞くことも楽しめず、何を食べてもおいしくないといった状態なのに、「現状をなるべく長く維持することが治療の目標」だとは納得できない。
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コメント 4

み〜な

おらさん
お誕生日おめでとうございます。
お連れ合いさんが入院中で寂しいでしょうが間質性肺炎10年をご一緒にお祝いしたいと思います。

家事ができるようになって、すばらしいですね。
お連れ合いさんの倦怠感が和らいで、食欲がでてくれるといいですね。
少し休薬するという余裕はないのですか?
いい方向に進みますように祈ります。
by み〜な (2017-08-09 16:45) 

おら

間質性肺炎で10年を過ごせたのは確かに祝うべきですね。ただ目下のところ連れ合いの状況の厳しさが先に立ってしまいます。当然ながら、子供たちからも古希のお祝いなどという話は出てきません。
by おら (2017-08-10 21:21) 

ポプリ

夫の病気に寄り添って暮らしています。
ちょうど、一年が過ぎようとしています。一難去らずにまた一難の
状態です。ブログを読み、励まされ、今日も、心を軽く強く持って
進もう(^^♪ と思います。

by ポプリ (2017-08-13 08:49) 

おら

一難去らずしてまた一難。-----病気との戦いはホントそうですね。僕もこのところ旅行ネタとか楽しい話題がないです。でも、逃げることは出来ません。どうせなら、明るく頑張るしかないのです。
by おら (2017-08-14 22:06) 

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