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片手生活3週目 [日常日記]

転倒による骨折から3週目、片手生活が続いている。「私は夫を介護している優しい奥さんなのよ」と、自慢げな連れ合いの目つきに、悔しい思いをさせられるが、ある程度事実なのだから仕方がない。

しかし、人間は思いのほか順応性があるものだとわかってきた。最初は介護されまくっていたのだが最近はずいぶんと自立して来た。靴下をはくなどと言うことも、最初、どうしても足先を靴下に入れることができなかった。要は工夫だ。手を靴下の中に入れて、親指と小指を大きく広げれば入口が大きくなる。ここへ足先を合わせて、手とすり替える。これで靴下が履けるようになった。

車のシートベルトは、座ってしまうと、右手では届かないのだが、座る前に引き出して、左手のギブスに引っかけておけばよい。手順を考えることが必要だ。難関だったのは、ズボンをはくことだが、両手でないと、どうしても片側しか引き上げられない。もう一方に手を伸ばすと反対側がずり落ちてしまう。これは壁をうまく使うことで切り抜けられる。引き上げたほうの腰を壁に押し当てて、ずり下がりを防いでおいて、もう一方を上げる。チャックを引き上げて、最後は片手でボタンを留めなければならないのだが、練習したらできるようになった。

もともと、僕は不器用な方ではない。連れ合いが広島に届けるのだといって千羽鶴を折っていたが、僕は片手の掌で鶴を折ることに挑戦して見事成功した。ただ、時間はかかる。このほうが、心のこもった折り鶴であることは間違いないだろう。

歩行が安定しないから、また転倒しないために杖がいるのだが、右手を酸素ボンベに取られたら杖が持てない。片手だけで酸素ボンベを背中に背負うのも大変だったが、やはり、壁とか車の車体を利用すればなんとかなった。コンピュータのalt+shift+f5なんかは、alt+shift+Aに置き換える設定をすればよい。工夫すればなんとかなるのだ。

片手だってなんでもできると言いたいところだが、そうもいかない。ナイフとフォークの食事はダメだから、箸を使うのはいいとして、蕎麦をすする時、左手に出汁椀を持たないのは、蕎麦っ喰いの僕としては、何とも惨めだ。シャワーで右腕を洗うのは原理的に無理だし、車の運転はどうしても危険だ。結局助けてもらう局面は少なくない。

工夫と練習で補えても、問題は時間がかかることで、これはどうしようもない。出かけるときは急ぐから、配偶者がしゃしゃり出て、服を着せたりするが、なされるままだ。ギブスがとれるまで忍の一で過ごすしかない。それにしても、もう少し用心しておれば、転倒しないで済んだのにと思うと後悔は大きい。

片手生活がいつまで続くのだろうか。それを思うと気が重い。通院日で、SCC腫瘍マーカーがまた少し上がって2.7になってしまったのも気になる。ものごとは、なかなか順調にはいかないものだ。
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