SSブログ

サンタクロースの盛衰 [日常日記]

孫のお姉ちゃんは4年生。「あきちゃんが、もうサンタさんにもらうもの決めたって言うから、え、もうお手紙書いちゃったのって言ったの」「そしたら、お手紙ってなに? って言うんだよ。」「お手紙書かずに、どうやってプレゼント貰えるのよ。」

4年生になると、少しは物事を合理的に考えるようになる。サンタさんは、いつも遠くから見ているなどと言うことは信じない。何がほしいのかを伝えるためには手紙を書くしかないと言うわけだ。クリスマスツリーの横に封筒が置いてある。一所懸命、丁寧に書いたようだ。目立つようにと、お花や、ハートのシールが貼ってある。

もう少し大きな、高学年の子どもたちどうしの議論を聞いていると面白い。「いるはずない」と自信を持って言う子には、あまり反論しない。お父さんが置いていく家もあるけど、中にはサンタさんが来る家もあるのではないかと言うのが平均的な高学年の理解らしい。全くいないのなら、ここまで話題になるはずがないと考えている。ふっと気配を感じて外を見たら、ベランダにトナカイの糞が落ちていたなどと、もっともらしいことを言い出す子がいると、サンタクロース否定論は影を弱める。

この子の親、つまりうちの子供たちは、中学生になるまでサンタクロースを信じていた。同じような世代が集まっている集合住宅だったので、僕も近所の子によく「本当にサンタクロースはいるの?」と聞かれた。半信半疑の子どもたちは、よその小父さんに聞いてみるらしい。もちろん「いるともさ」と答えた。結果的に大人たちが、みんな口裏を合わせたことになる。80年代には、しっかりとサンタクロースが実在していた。

しかし、僕らが子供の頃、50年代には、サンタクロースは来なかった。そんなものを信じないのが「科学的」だと思われていたのである。どの大人も、サンタクロースを否定した。僕も、サンタクロースにプレゼントを貰った覚えはない。幼稚園や地域の子供会がクリスマス会をやって、サンタクロースが現れてプレゼントをくれるというのは一般的だったが、クリスマスは、家庭行事ではなかったのである。あちこちのバーやキャバレーがクリスマスパーティーをやって、酒飲みを集めていた。家庭行事でなかったからこそ出来たことだ。

70年頃にはクリスマスケーキが流行った。大きなケーキを食べる機会が他に無かったからかもしれない。駅前の商店街にはケーキが積み上げてあり、飲み会帰りのお父さんが、罪滅ぼしに買って買えるパターンが多かったようだ。サンタクロースの人口が一番多かったのはこの頃ではないだろうか。歳末大売出しの福引会場には必ずサンタクロースがいたし、この時期の宣伝にはサンタクロースは欠かせなかった。今は、駅前商店街自体が衰退している。いつでもケーキを食べられるようになって、クリスマスケーキは少なくなった。

サンタクロースは、夢と余裕の産物だろう。格差が拡大する世の中で、子どもたちにプレゼントをくれるサンタクロースが増えているのか減っているのか気になるところだ。中にはあるだろう、小さな子の家にサンタクロースが来ないのは、考えても痛ましい。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。