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男なのにどうしておじいちゃんなの? [日常日記]

4歳になると、それなりに理屈を考えるらしい。男だからおじいちゃんであるわけだから質問の意味が理解できない。彼女の説明によれば、男の子は、祐介クンも、卓也クンもみんなクンだ。だから女の子であるおばあチャンはわかるが、おじいチャンは男だからおかしいというのだ。

答えに窮して、「赤ちゃんは、男でも女でも赤チャンだろ」とごまかしておいた。それで完全に納得した様子ではなかった。言葉は、意味だけではなく語感も大切だということがわかる。それが、日本語の多様性だ。日本語は、話し言葉と書き言葉がいまでも違うし、同じことを表すにも、少しずつニュアンスが異なる表現がある。

方言もその一つで、必ずしも標準語に翻訳できない。よく関西弁はやわらかいといわれるが、それは、音ではなく、敬語の使い方にあるのだと思う。関東と関西では敬語の使い方が異なるのだ。

関西では、「赤チャン泣いてはる」などとよく言う。直訳すれば「赤チャン泣いておられる」だが、関東でそんなことは言わない。ぞんざいな高校生が「先生きゃはった」と言うのは、決して「来られた」ではなく、「先生来たぜ」と同じ意味だ。関西の敬語は軽いのである。

では、重い敬語はどのように表現するか? それはない。関西では、天皇も赤チャンも同じである。古来、関西商人は、腰が低く、お客にへりくだる。だが、それは、普通のお客に対しても、大金持ちの上客に対しても同じようにへりくだると言う点で、実は反骨精神を表しているのである。上客にだけ追従する関東商人とは違っていた。

僕は関東に来てもう随分経つ。それでも、軽い敬語の魅力が棄てられずに時々関西言葉がでてしまう。近頃は、関東でも関西弁が理解されるようになって来ているが、どうもそれは上方漫才のためらしい。これは気をつけなければならない。謝るときに「えろう、すんまへん」などと言ってしまうと、逆に、ぶち切れてくる人もある。ふざけていると思われるのだ。

言葉は、相手に気持ちが伝わって始めて意味がある。4歳児の疑問から、妙なことを考えてしまった。
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