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痛みはあっても、お花見にはでかける [日常日記]

水曜日が化学療法の日だから、副作用が減る週明けに連れ合いは一番元気になる。筍ご飯のおにぎりを作ってお花見に行こうと言いだした。ここしばらく、出かけるというようなことはなかった。圧迫骨折した背中の痛みも今日は少ないらしい。

空は晴れている。出かける先は家からほど遠からぬ記念公園だ。大きな広場は一面の芝生なのだが、その周囲を桜の木が取り囲んでいる。明るい陽ざしをうけて、「あでやか」と言う表現がぴったりな桜の美しさだ。花を満載した枝の下に立って見上げると、花の世界に引きずりこまれるようだ。

願わくば花の元にて春死なむその如月の望月の頃

良く知られた西行法師の歌だが、旧暦だから丁度今の季節だ。しかし、この歌の「死なむ」には納得できない。ここはどうしても「生きむ」だろう。この花は生きる喜びを与えてくれるものだ。彼女が骨折の痛みを我慢しておにぎりを作ったのも、この花に元気を貰いたかったからに違いない。

桜の花の寿命は短い。週末はお天気が悪かったから見逃した人も多いことだろう。今週の週末にはもう散っているはずだ。短い命を惜しまれるからこそ美しいのかもしれない。人間の寿命も長いようで短い。花のように美しく散るということは出来ないが、精一杯生きれば、自分の心の中では満足の行く一種の美しさが得られるのではないだろうか。

桜を楽しんだのも束の間、帰ってきたら、また痛みが出てきたようだ。ちょっと顔をしかめたリして座り込んでいる。しかし、しばらくぶりで出かけられたことは良かった。

僕も、得意の携帯用アルコールランプを持ち出して、あたたかい陽ざしの中で、お茶を沸かすことができた。本当はコーヒー党なのだが、コーヒーはちょっときついという連れ合いに付き合って今日は紅茶だった。旅先で息をのむような景色を眺めながらコーヒーを淹れるというのが僕の定番の楽しみなのだが、彼女がが元気になって、また二人で旅に出られるのはいつだろうか。

まだまだ検査数値は高いが、薬は少しづつ効いてきている。もう少し頑張って見よう。連れ合いを励ましながらのお花見が、今日一日のたわいもなく大きな出来事だった。

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コメント 2

chiro

お二人の姿を想像して、ほっこりしました。主人は底の底まで落ち込んで、同室の肺気腫の70代の先輩の一言で、少し前向きになりました。筋力落ちてるので、15日から在宅介護?これからが始まりです。お二人とも、お大事になさってください。
by chiro (2017-04-12 18:59) 

おら

前向きの姿勢。これはいいですね。長い入院で筋力が落ちてしまうのはしかたありません。僕は、坂道で踏みとどまれず、前に進んで転倒してしまうといったことがありました。気をつけてください。
by おら (2017-04-13 17:22) 

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