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ロバのパン [懐かしい物]

子どものころ、1950年代、母の実家に連れていってもらう時の楽しみは蒸しパンを買ってもらう事だった。実家は京都の街中にあり、今では住宅がほとんどない商業地域だ。路上販売など大渋滞の原因になるから考えられもしない。

「♪ロバのおじさん チンカラリン
チンカラリンロン やってくる
ジャムパン ロールパン
できたて やきたて いかがです
チョコレートパンも アンパンも
なんでもあります チンカラリン♪♪♪」

軽快なメロディーのレコードを流して、ロバが馬車を引いてくる。曲が聞こえてくると、「おばあちゃん、ロバのパン来たよ」と、おやつをねだるのだ。この歌では、いろんなパンがあるようになっているが、実際には蒸しパンしかなかった。

連れ合いは、九州天草の出身なのだが、ロバのパンは天草にもあったということだ。そういえば、高校生のころ舞鶴でもロバのパンを見かけたから、全国展開していたことになる。ただし、その頃には車での販売になっていたし、普通にいろんなパンを売っていた。

調べて見ると、やはり発祥は京都で、ビタミンパンという会社が始めて、一時は、全国に150もの支店を持ったらしい。模倣で同じ業態の会社も沢山あったから、1960年代には、全国にこの曲が流れていたことになる。

当然、ビタミンパン社のCMソングだと思っていたが、どうもそうではないらしい。「ロバのパン屋さん」は矢野亮作詞・豊田稔作曲の童謡なのである。ビタミンパン社がレコードを買って勝手に販売時に流しただけだ。蒸しパンしかなかったのに、アンパンやチョコレートパンが出てくるのは、そのためである。実際にはロバではなく、木曾馬だったそうだが、これも歌が別立てで作られたからいう事情によるものだ。

童謡だから、どこの会社が使ってもかまわない。だから全国各地で使われたわけだ。歌に合わせていろんなパンを売っていたのは、多分別会社だ。ビタミンパン社は今でも存続しており、蒸しパンに特化したままだ。この歌に出てくるアンパンは今でもあるが、ジャムパンとかチョコレートパンは、あまり見かけない。どれも周りをパンで包み、中にジャムなどが入ったものだった。

あれから、パンの発展は目覚しい。僕が住んでいるこの町も「パンのまち」を自称して、多くのおいしいパン屋さんがある。パンは作りたてでないとおいしくないから、本質的に大工場のものはダメだ。中小企業、個人経営が健在できる数少ない業種だろう。数々のおいしいパンが売られている。日本は世界でも有数のパンのおいしい国になった。アメリカで暮らしていたとき、パンの不味さに辟易したのを覚えている。ただし4斤で25¢といったとんでもない安値ではあった。アメリカでも都会地に行けば日本と同じおいしいパンがあったのかもしれない。
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