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携帯用酸素濃縮機(POC)を使う [療養]

在宅酸素を使っている人の多くは、家に酸素濃縮機を設置して、出かけるときは酸素ボンベを使う。液体酸素というのもあって、こちらはボンベよりも軽いという利点がある。どちらにしても、出かけるときは、酸素の残量を気にしなければならない。長期に出かけるには、何本も酸素ボンベを用意したり、持ち運びも大変だ。僕は、ボンベを8本持って自動車旅行をやってみたが、3日が限度だとわかった。就寝時には同調器が使えず連続になるから消耗が激しいからだ。それに、ボンベの取替えで夜中に何度も目を覚まさなければならない。

間質性肺炎になるまで、よく外国に出かけていた僕にとって、在宅酸素生活は、なかなか辛かった。航空会社は、機内で使う酸素ボンベを供給してくれることがわかったのだが、向こうについてからどうするのかの見通しがつかない。向こうの友人に頼んで酸素ボンベを持って迎えに来てもらう手もあるが、飛行機を降りてから、入国審査、通関、荷物の受け取りといった長い道のりがある。その間の酸素は手の打ちようがない。

携帯用の酸素濃縮器があれば良いのにと思っていたら、海外ではPOC (Portable Oxygen Concntrator)が、かなり出回っていることがわかった。 2008年当時の話だが、POCは、日本では全く使われていなかった。おそらくPOCを使ったのは、僕が最初だろう。日本には、発達した保険制度があり、それにPOCが入ってなかったからだ。厳密には、日本でPOCを販売することは薬事法違反の犯罪になるのだった。

なんとか手に入れたいと試みたのだが、購入には医師の診断書が必要で、用紙には医師のstate licence number まで書かないといけない。つまり、アメリカに行って診断を受けなければいけないということだ。しかしPOCを手に入れないことには、アメリカに行けない。鶏と卵のジレンマに陥ってしまった。結局のところ台湾経由で業者に頼むという裏技的な方法で入手することができた。ずいぶん高くついてしまった。

高くはついたが、それだけの値打ちはあったと思っている。POCを持って外国に出かけたのは10数回だろうし、共同研究で3ヶ月のアメリカ滞在も果たせた。予備のもう一台をアメリカで買ったら半額で買えてしまった。電池は同調器を使っても4時間しか持たないのだが、車の12Vからでも、家庭の100Vからでも充電できる。旅行中は、レストランで食事中に充電させてもらう。断られたことは一度もない。

POCは、何社もあって競争しているから、なかなか良くできている。Eclipseは重さ6.8kgで軽くはないから、カートで引っ張るが、大きさは小さな旅行バックくらいだ。同調器を使えば6L/minまで対応するし、就寝中の連続使用は3L/minまでだから、定置式の酸素濃縮機と比べてもひけをとらない。エスカレータで手を滑らせて、下まで転げ落ちたこともあるが、壊れなかった。3ヶ月X24時間の連続使用も平気だった。

セキュリティーチェックの厳しい飛行機にも持ち込める。しかし、電源は使わせてもらえないので、長時間かかる国際線では、多数の電池を用意しなければならないし、事前に診断書を見せて登録もしなければならない。僕は、機内に関しては航空会社にボンベをお願いすることにしている。大体、大きなボンベで一本1万円くらいかかるが、電池の交換に起きないですむ。しかし、すべての航空会社がPOCに対応してくれるわけではなく、国内ならANAとJALに限られ、LCC(格安航空会社)は受け付けてくれない。

さて、このPOCがいよいよ国内でも公式に使えることになった。しかも、おそらくタダである。アメリカでは、POCが普及したので航空機へのボンベの持込を禁止した。考えてみればボンベは高圧ガスで危険この上ないしろものだ。POCは空気中の酸素を少しづつ濃縮するだけの機械だからよほど安全だ。そんなことで、厚労省が輸入したPOCの使用をついに承認したのだ。僕が使っているEclipseも今年(2015年)から保険適用になった。

現在、在宅酸素療法の診療報酬点数 は、指導管理料 2,500点/月 、酸素濃縮装置 4,000点/月、酸素ボンベ 880点/月、 同調器 300点/月 で、厚労省は「酸素濃縮装置」としてPOCを認可した。つまり、POCは従来の酸素濃縮機の置き換わるものだということになる。おそらく酸素会社は置き換えをしないだろうが、出かけると言えばその期間POCを使わせてくれるようになるかもしれない。保険点数は上がらないから、患者側からみればタダということになるはずだ。酸素会社としても1台持っていれば、多数の患者に順繰りにつかえるから、他社との競争で、これくらいのサービスをしてもおかしくない。

技術の進歩が、酸素が必要な人の生活を豊かにしてくれれば、すばらしいことだと思う。POCを持って外に出よう!!まずは、酸素会社と病院に「こんなのがあるから使わせてくれ」と言ってみよう!!

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Ikeda

Kodomo さん
POCについて調べていたところこちらのサイトにたどり着きました。
私の母が喘息で障害者の認定を受けていて、酸素が必要です。
POCを買いたいのですが、海外のサイトしか見つからず、問い合わせても、輸出してないと言われました。国内で販売(レンタル?)してくれるところか輸出してくれる会社を探しています。
もし宜しければ、kodomo さんが買われた先と、国内でぽを扱っている業者がああれば教えていただけないでしょうか?
母の家にある酸素の会社と担当医はPOCの存在すら知りませんでした。突然のコメントにて失礼していることは重々理解しておりますが、藁をも掴む思いでコメント欄に書かせていただいております。
どうぞよろしくお願いします。
by Ikeda (2015-09-03 10:48) 

kodomo

気付かず、お返事が遅くなってすみません。本文にも書いたように、私が手に入れた頃には、国内で販売している業者はありませんでした。

今では事情が変わっていますので、扱っている会社もあるようです。
http://www.zaitakusansoryoho.com/
などを見てください。
by kodomo (2015-09-15 00:11) 

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