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白内障の手術をした [療養]

白内障の手術なんていかにも年寄りくさい。まさか自分がやるとは思わなかった。特に視野が暗いとは思わなかったし、白くカスミがかかったように見えることもない。ただ近視が進んで視力が低下しただけだ。見え方がおかしく、信号の赤ランプが4つに見えたりする。近所の眼科では、少し白内障がありますが、まだ手術するほどではないかもしれませんと言われていた。メガネを変えても良く見えるようにならないのは、何か他の病気かもしれないと大学病院の眼科にいった。運転免許の更新が危ぶまれたからだ。先生の話では、他に悪いところは見られないから白内障の手術をしたほうがいいとの事だった。

しかたがない。白内障の手術をして、原因が白内障でないことを確認しないとこの先に進めない。そう思って手術をすることにしたのだ。実際、あまり年を取ってからより、早い目にやっておいたほうが、手術はやりやすいらしい。僕より年の若い友人が手術をしたと聞いて、自分がまだボケ老人でないというツッパリを和らげたこともある。

しかし、手術なんて嫌なものではある。手術着に着替えさせられて、車椅子に乗る。なんで、歩けるのに車椅子に乗るのだとは思ったが、手術後片目で歩いて遠近感がわからずにひっくり返っても仕方がない。「点滴やります」と言われて驚いた。目の手術に点滴はいらないだろう。何の薬かと聞いたら、ただの生理的食塩水だという。手術中、何か異常が起こって注射が必要になったときに、すぐ注入出来るように、あらかじめ針をさしておくのだということだった。

手術室の入り口はなかなか厳重で、帽子をかぶせられ、職員は消毒液で手を洗ってはいる。手術台に移るのだが、これは椅子型のものだった。リクライニングで身体を倒し、何か大きな顕微鏡のようなものが近くにある。これが、多分手術用の顕微鏡マニピュレータだ。なにしろ、小さな部分の手術だ。手でやれるわけがない。

目の周りに何度も消毒液を塗られる。顔に片目だけ穴の開いた覆いをかぶせられ、麻酔が始まる。麻酔も目薬であり注射ではなかった。、目を開いたままにするように、テープを貼られたようだが、麻酔が効いているので痛くはない。リラックスしようと思うのだけどつい力が入る。知らず知らずに手を握り締めていた。機械が近づいたかなと思ったらとてもまぶしくなった。どうやら、マニピュレータの中の光らしい。光源らしい3つの明かりが見えた。

目がぐっと押される感じで、光が横にずれる。まぶしい。やがて、光源がぼやけて、なにやら明るさだけがわかる状態になる。目がぐっと押される感じは、何度も繰り返される。目をつむりたくなるのだが、つむっては手術ができないだろうから、目を閉じないように頑張る。たぶん、閉じようとしても閉じられないのだろう。

手順では、まず小さな穴をあけて、中の水晶体を取り出すはずだ。少し硬いので超音波で砕いて吸い出すらしい。これに時間がかかる。15分くらいなのだが、非常に長く感じる。あい変らず、ボーとした光がユラつき、目が押される。こちらも疲れてきて。もう、どうにでもしてくれといった気分だ。

次の工程は穴から折りたたんでレンズを入れて中で広げるらしい。しかし、どこでこの工程になったのかはよくわからない。ボーっとした光が、一瞬また3つの光源に見えたりする。「はい、最後に注射をします」といわれて、なにか目がちくりとするが、やっと終わったのかという意識のほうが強い。目にガーゼを貼り付けてしまう。

血圧が高い。心臓もどきどきしている。疲れたなあと言う感じで、看護師さんに車椅子を押してもらって外来病棟に帰った。車椅子なんかいらないと思ったのは明らかな間違いだった。30分安静にしてくださいといわれたが、30分はすぐにたった。血圧が180まで上がっていたそうだ。僕の普段の血圧は120くらいだ。

帰宅して、翌朝また病院に行く。目のガーゼをはずしてもらうと明るい。自分の手のひらを眺めてみると良く見える。30cmくらいでしわなどがくっきりと見える。メガネが合っていないから、遠くはよくわからないが、明らかに前よりよく見える。視力検査で、レンズを変えてはかると1.2まで見えた。すばらしい。

これで、片目が終わり、次の週にもう一方の目を手術した。こちらの目は良く見えるほうで、手術の必要を感じなかったのだが、両方一度にやったほうが、メガネの作り直しが簡単だし、どうせやるなら早く済ましてしまおうということでやることにした。 結果的にはこちらも、近視の度を下げられた。一ヶ月ほどしないと視力は安定しないそうだが、臨時のメガネを作ることにして眼鏡屋さんに行ったら、この程度の度の軽いメガネなら、即日作れますということで、術後の不便もほとんど無しですんだ。

いやはや、躊躇した僕が怖がりすぎていたに過ぎない。目がよく見えるのはなんとすばらしいことか。様々な目の症状はすべて解決した。レンズは固定焦点だから、近くか遠くかどちらかしか見えないことを恐れたが、人間の目は口径が小さいから、十分焦点深度は浅い。固定焦点でもかなり広い範囲でよく見える。2重焦点のメガネをかければ、ほぼ完全だ。白内障の手術は、さっさとやってしまうべきだというのが僕の結論である。
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