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2013年の中国旅行 [旅行]

中国・北京に行ってきた。突然の要請で2週間にわたって大学院生に講義をすることになったのだ。夏休みの最中だし、直前に飛行機がとれるものかと思っていたがなんなく予約できてしまった。中国には25年前に行ったきりだし、配偶者は今度が初めてになる。

知り合いに中国に行くと言うと、「大丈夫か?」とか「危ないのじゃないか?」などと言われた。尖閣諸島などを巡って反日感情が高まっているという報道が続いているからだ。

北京空港に着いて、以前の様子が全く残っていないのに驚かされた。空港を出るといきなり高速道路に乗ってしまうのにも驚かされた。前に来たときはローカル空港の雰囲気だったし、空港から市内への道は、照明もすくない、暗い道だったが、女の子を含めた歩行者が道の端を多く歩いていたのが印象に残っている。全くの様変わりだ。

研究所につれて行かれ、そこで毎日、午前中は講義、午後は質問とか議論で過ごしたのだが、学生たちは非常に熱心で、事前に僕の論文なども読んでくれている。昔は、中国の研究者たちは、どこかピントはずれで、常識的な知識に欠けていることが多かったのだが、いまは打てば響くような反応を示すようになっている。おとなしすぎる日本の若者たちに比べて、やはり元気が良い。

週末には北京観光に出かけた。万里の長城とか故宮などの名所は見たいという配偶者に付き合った。相変わらず天安門広場には大勢の人が詰め掛けている。単なる広場なので非常に大きいが、べつに何もない。ところがここがいつも大勢の人で賑わっている。不思議なことだ。中国各地から北京に来た人が、一度は訪れて記念写真を撮る。それだけのことなのだが、中国はやたらと人口が多いから、「一度」だけでも、毎日膨大な数になるというわけだ。改めて中国の大きさに感嘆する。

中国は一つの国であり、日本も一つの国である。しかし、同じく国であると言っても桁がちがうことを念頭に入れなければならない。これを多くの日本人は忘れてしまっている。

外国の観光地と言えば日本人観光客が目立つのだが、北京には非常に少なかった。飛行機の切符が取りやすかったはずだ。中国の人たちは親切で人懐っこい。反日感情が高まっているなどと言うことは微塵も見られなかった。それなのに、観光客が少ないというのは、まるで自分の影におびえているようなものだ。

私たち日本人も、別に中国から来た観光客に意地悪をしたりしない。中国人だって同じことだ。マスコミも変に緊張をあおるようなことは止めてもらいたいものだ。もちろん、日本にだって「ザイトク」なんてアホな連中はいる。日本の場合、経済の行き詰まりを中国などのせいにする風潮が下敷きにあって、こんな連中が出てきたりするのだが、中国からみれば、経済は上向きで、一般の人たちに日本人をことさら悪く見る理由もない。

北京の街の様子は、高層ビルが立ち並び、マクドナルドやKFCが軒をならべ、おしゃれなカフェでギターの弾き語りをやっているといった調子で、全く東京と変らない。25年前とは異なる。しかし、言葉の状況は変っていない。講義は英語でやって、十分通じたのだが、街中ではまったくと言ってよいほど英語が通じない。簡単な単語すらわからないようすなのだ。これは日本の比ではない。

テレビはかなりの数のチャンネルがあるが、全部中国語放送だ。25年前は京劇をやったり、ニュースをやったりするNHKみたいな放送だけだったのだが、今は民放が多く、コマーシャルが入るしバラエティー番組やお笑いもあるから日本と同じだ。ドラマ番組では、メロドラマでさえ、昔の場面になると必ず日本軍が八路軍の急襲で逃げ惑うシーンが出てくるあたりが違うかもしれない。これは国中が日本に踏み込まれての戦争を体験していたのだから仕方がない。日本なら、戦前のシーンでも内地の「銃後」がほとんどだが、中国ではすべての人生が戦場だったのだ。

中国では貧富の格差が大きくなっているという。確かに統計から見ると大きな格差ができている。しかし、北京の町をみてもそれはあまり感じられない。アメリカのようにあちこちにスラムがあるわけでもなく、レストランのウエイトレスなど日本で言えば非正規労働者にあたる人たちもそれなりに暮らしているように見える。中国の格差は都市と農村の間にあるという。都市では総じて収入が高く、農村では収入がないが物価もちがうといったところだろう。周りが全部貧しければ貧しさをそれほど感じない。しかし、都会に憧れ、都市に出て行く若者がどんどん増えており、農村は過疎化しているらしい。

格差の増大も中国の場合は上への広がりで、新しい金持ちが出てきている。下は取り残されているだけで悪くなっているわけではない。60年代の日本もそれに近かったかもしれない。現在の日本は格差が上とともに下にも広がっている。貧しい人の暮らしがどんどんひどくなっているから問題だ。

この旅で改めて感じたことは、世界中人間はみな同じ、どこの国でも同じように人生があるということだ。
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