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発明でお金を儲ける夢は消え [日常日記]

僕は十数件の特許を持っているが、どれ一つとして製品化されたものはない。実験装置の発明だから同じ研究をする人以外に使い道はなく、製品化されないのは当たり前かも知れない。ある時から急に大学や研究所でも特許を取ることが奨励されるようになって、仕方なく取って見ただけのものだ。「優れた発明」と「儲かる発明」は全く別物である。実は「儲かる発明」でなければ特許の意味はない。特許は発明による儲けを保護するためのものだからだ。僕には発明が儲けに結び付かなかった前歴があるということだ。

しかし発明・工夫というのは面白いものではある。実験結果よりも装置の工夫にのめりこむのが僕の悪い癖だったのだが、退職してからも、生活用品のの工夫を試みる癖は抜けない。磁石で車にくっつくカメラスタンドとか、駐車券を入れる伸ばし棒とか、ブログ自動巡回ソフトとか、寝床で本を読む書見台とか自分では良くできた発明だと思うのだが汎用性はなく、売れるものではない。その中でこれは「儲かる発明」ではないかと思うものが一つある。それはコーヒーファネルだ。

旅先でコーヒーが飲みたくなることがある。素晴らしい景色を眺めながら飲むコーヒーは格別の味だ。大抵そんな自然の中にコーヒーショップなどない。ここでコーヒーを飲めたらなあと思う。カンコーヒーといったものもあるが、そんなまがい物では満足できない。自分でコーヒーを淹れるのは、そう難しくない。水は割と簡単に手に入ることが多い。水とカップがあれば固形燃料でお湯を沸かせる。ペーパーフィルターなんか別にかさばるものではない。問題はフィルターを入れるファネルだ。重くはないがゴロンとした形でもちろんポケットには入らない。ポケットに入るコーヒーファネルというのが僕の発明だ。

4枚の板を組み合わせてファネルにする。はめ込みでうまく組み立てられる形状というのがポイントだ。ばらせば4枚の板だから全くかさばらない。実は折りたたみ式のファネルと言うのはキャンプ用品としていろいろ売り出されている。しかし、普通の台形フィルターが使えなかったり、金属フィルターで掃除が大変だったり、満足の行くものがない。しかも2000円とかの結構な値段だ。僕のファネルは熱に強いポリカを使うのだが原価は50円くらいだろう。1000円で売れば絶対売れる。これは特許というほどのものではないが「儲かる発明」だと思った。

これを商品化して売り出すビジネスを企てたのだが、いろいろ調べて見て結局は儲からないと言うことがわかった。それでも、少ない赤字なら、一度社長になって見たいという気持ちが有ったので、配偶者にバカにされながら、ちょこちょこと準備はしていたのだ。しかし、今日、ついにこの夢は消え去った。

紙製の台座付きの使い捨てフィルターと言うのが売り出されているのを見たからだ。お湯を注げばコーヒーになるインスタントのパックと言うのがよくあるが、これはまずい粉だから競合しない。しかし、コーヒー粉が入っていなくて、自分の豆が入れられるなら、こちらのほうが僕のより軽量で手軽だ。値段も10枚入りで300円だ。多分、キャンプ用の折りたたみファネルも売れなくなるだろう。

「儲かる発明」というのも難しいものだと言う事だけはよくわかった。僕は意地でも毎朝淹れるコーヒーには僕の発明品を使い続ける。使い慣れた器具で、普段と同じ調子で旅先でもコーヒーが飲めると言うのが唯一の言い訳だ
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