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緑内障手術で入院(3) [療養]

外は寒いようだが、病院の中は暑さ寒さの心配はまったく要らない。一日中をパジャマで過ごす。三度の食事はベッドまで持ってきてもらえるし、後片付けもいらない。気楽なものだ。以前入院した時は大学病院らしく、極めて重症の人ばかりで驚いたのだが、眼科の入院はたいてい短期だし、命に別状がないので雰囲気は明るい。同室の人たちとおしゃべりをしたりして、結構くつろげる。

しかし、当然行動は制限される。手術後はシャワーも出来ないし、病棟外には散歩にも行けない。食事はあてがわれたものだけである。病棟に閉じ込められたままだから、刑務所のようなものだが、インターネットを使ったり、面会に来てもらえるのがが違うところだ。

部屋にはベッドが4つあるのだがゆったりした広さがあるし、テレビや冷蔵庫もついている。僕はテレビを見ないし、冷蔵庫もいらないのだが、差額ベッドしか空いてないということで仕方なく一日1600円くらいを余計に払うことになった。どの病室も食事は同じだからつまらない。飛行機のビジネスクラスのようなわけには行かないようだ。

目の玉を切ったり突いたりには恐怖感を覚えてしまうのだが、麻酔後に痛みはないし、短時間で終わった。手術の翌日に眼圧を測ると6㎜Hgだった。30㎜Hgから劇的な下がりだ。普通はフラップの癒着が始まり2,3日でまた上昇する。フラップを縫い付けた糸を切って調整するのだが、僕の場合は、2日目にも7㎜Hg、3日目にも7㎜Hgで、あまり上昇はしていない。しかし、4日目には9㎜Hgになったから、少し心配になったが、5日目に8㎜Hg、6日目には7㎜Hgだからまあ安定ともみられる。結局、無調整で終わることになり、7日目で退院することになった。
手術前1日目2日目3日目4日目5日目6日目7日目
32 ㎜Hg6 ㎜Hg7 ㎜Hg7 ㎜Hg9 ㎜Hg8 ㎜Hg7 ㎜Hg7 ㎜g
15日目21日目29日目43日目53日目84日目121日目
9㎜Hg13㎜Hg16㎜Hg15㎜Hg13㎜Hg14㎜Hg14㎜Hg

手術後の眼の見え方は、予告されていたとおり、やはり悪い。近くも遠くもにじんだようにぼけて良く見えない。これは2か月ほども続くらしい。左目は手術していないので見えるから実用的には支障はないと思うが、うれしいものではない。普段は右上のまぶたの下に隠れているのだが、白目にポコッとこぶがある。これが房水のたまるブラブだ。少し大きさが足りず盛り上がり過ぎているのが主治医も気に入っていないようだが、まあ、許容範囲だろう。

手術の傷が癒えて、全体的なボケが治まって来て違和感に気づいた。やっぱり、視野の欠損があるのだ。右目でべた文字の画面を見ると濃淡にむらがある。ぼつぼつと、ぼやけの島があるのだ。視野の中央付近もぼけている。先週、視野検査をした時には周辺部だけで自覚症状としての視野欠損はなかったのだが、手術までの一週間でかなり進展したことになる。改めて緑内障の恐ろしさを知った。ブログを読むと、もう少し早く手を打っていればという後悔が書いてあるものが多い。気づかないうちに進行してしまうし、その進行も早いのだ。僕の場合、完全に見えない部分はなく、左目が健全だから今のところ実用的には不便はない。診断からわずか5日で手術という機敏な対応がなかったらと思うとぞっとする。またしても僕の「不幸中の幸い」である。

問題は、もう少し長期にある。この手術で眼圧を下げても、またしばらくして眼圧の上がる人が多い。眼圧が上がる根本原因が取り除かれていないからだ。僕の緑内障は新生血管性のものだ。血流が悪いと目の中が酸素不足になり、新しい血管を作って酸素を補給しようとする。レンズの近く光彩の端に血管ができてこれが隅角の房水取り入れ口をふさいでしまうのだ。網膜にも新生血管が出来てしまうのだが、新生血管は応急的なものだから弱く出血しやすい。出血などが起こると房水の圧力は高まってしまうし、直接的に黄斑変性が起きたりもする。

新生血管緑内障は、多くの場合、糖尿病の合併症として引き起こされるから血糖値の管理が有効な対策になる。しかし、僕の場合はステロイドの副作用で血糖値が上がってはいるが、HbA1cの数値で6.5程度を保っているから、普通に考えれば緑内障を起こすほどのものではない。新生血管は炎症とか他の原因でもおこるのだが、原因は結局よくわからない。

注意しなければならないのは目の感染症だ。トラベクレクトミーの結果、目の中まで穴が空いているから感染症になると大変なことになる。感染症事故は3%というから、そうまれな事ではない。さらに調べて見ると、「新生血管緑内障は難治性で最終的には失明になることが多い」とある。困ったものだ。なんとか進行を引き延ばせればそれでいいのかも知れない。僕の寿命もそう長くはないのだから、それまで視力を保てればそれでいいのだと考えよう。



------------<続き>------------------

退院が年末になり、次の検診は正月明けになった。その間に眼圧が上がるのではないかと心配したが年明けに診てもらったら15日目で9㎜Hgだった。上がり方が遅い。手術後、2,3日で15ほどに上がって抜糸で10くらいに落ちつくのが普通らしい。下がり過ぎても困るので、次週に抜糸を予定することになった。右目の視力は0.4と、かなり悪くなっている。もう少し回復してほしい。

手術から21日目、抜糸の日、眼圧は13㎜Hgまで上がっていた。抜糸といってもナイロンの糸をレーザーで焼くだけだ。糸の切れ端は残る。残っても問題はないそうだ。これで、フラップの押さえが無くなり、少し開いて眼圧が下がるようになるはずだが、すでに21日経っているから効果はないかもしれない。2つある糸の内まず1つを焼いた。次週にこの結果がわかる。右目の視力は0.5。良くなったという気はしない。

29日目、眼圧は16㎜Hgまで上がってしまったから、もう一本の糸も焼く。まあ、あまり効果はないだろう。指で目の玉を抑えつける眼球マッサージを日に4回やるように指示された。房水を押し出すことで経路の狭窄を防ごうということだ。術後三ヶ月くらいにやると有効らしい。右目の矯正視力は上がってきて0.8。これは頼もしい。左の眼圧は24だからこちらがむしろ気になる。良い方の目を失いたくない。

43日目、右目は順調で眼圧15㎜Hg、眼球マッサージを続けるようにと言われた。左目もトラバダンスが効いたと見えて17㎜Hgまで下がっていた。矯正視力も左1.2右1.0まで回復した。ただしこれは、丸の切れ目が見えているわけではない。非対称性から推測して確率50%くらいで当たりになる分を含んでのことだ。視野のなかのぼやけまだらは変わらない。

53日目、抜糸は終わっていると思ったが、結膜の抜糸が残っていた。最表面の透明膜だ。結膜を切り、その中の強膜部分にフラップを作ったのだ。これはレーザーで焼いてピンセットで抜き取る。左目16㎜Hg、右目13㎜Hgと快調だ。眼球マッサージが効いたのだろうか。

84日目、定常状態になったと思う。新生血管は減ったわけではないが増えてはいない。明らかに右目は少し見えにくいのだが、視力検査では両方1.2だ。ポツポツと視野落ちがあっても、目玉を動かせば、なんとなく切れ目はわかる。左16㎜Hg右14㎜Hgと眼圧は順調。
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