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入院しました----老人病院体験 [療養]

ステロイドが20mgになっているので用心はしていたのだが、風邪をひいてしまった。39度5分の高熱がでたのでは病院に行かざるを得ない。かかり付けの主治医のいる病院は遠いので手近な病院に行くことにした。我が家の近くには、大学病院をはじめ、総合病院が6つもあり、いずれも10分以内の距離にある。個人医院も沢山ある。

この病院はいわゆる老人病院で、「入ったらでられない」とか「老人を飼い殺しにする病院」などと言われ評判が悪い。好き好んでこんな病院を選ぶ人もないらしく、外来は何時行ってもがら空きだ。高熱でヘロヘロになっている時に待ち時間がないというのは実にありがたい。風邪薬をもらおうと思って行ったのだが、風邪が拗れて肺炎を起こしているから入院治療が必要だと言われてしまい、そのまま入院した。

この病院に入院して、こういった病院には、それなりの良さがあるということを改めて認識するようになった。老人病院では医療以前のケアがいるのだ。オムツの交換、スプーンで口に運ぶ食事の世話、寝巻きの着せ替え、入浴の世話。むしろ医療行為は付けたりになる。投薬も口に入れるところまで確認しなくてはならない。大学病院ではここまで面倒はみてくれない。医療に必要なのは高度な知識だけではなく面倒見の良さなのだ。老人病院は確かに面倒見が良い。入浴も、大学病院ではシャワーだけなのだが、頼めば湯船に浸からせてもらえる。

僕も、食事の度に、カニューラと酸素マスクの切り替えが必要だったし、寝る前には呼吸器の設定をしてもらったし、朝は停止にまた手を借りた。家に電話を掛けることも頼んだ。便が出る度に便器を持ってきてもらったし、歯を磨くからといっては水を持ってきてもらった。一度は不注意で寝巻きをからげるのに失敗して、便だらけに汚してしまったのだが、快く対応してもらえた。他の患者はもっと手がかかる。一日中ナースコールを押し続けるひと、わけのわからない大声を出し続ける人、家に帰ると立ち上がってよろける人、食事を食べないとダダをこねる人、こんなのが一杯いる。

こういった難題に対応するスタッフとしては、「ヘルパーさん」と呼ばれる補助職員が多い。医療行為でない部分は看護士でなくても良いからだ。看護士は何をするかといえば一切の医療行為だ。注射、点滴、薬剤管理、検査から、聴診もやる。薬の増減なども看護士が決めて医者にハンコをついてもらっているような気がする。医者は、ちょっと来て挨拶するだけみたいなものだ、病棟は看護師が主体で動いている。長期に入院している人が多く、病状の変化も少ないし、悪化すれば急性期医療の病院へ移してしまうから、医者の役割は少ない。専任の医者は、どこかの病院をリタイアしたような人ばかりだ。しかし、多くの医者は、大学からの派遣だったりするから、医療水準が低いわけでもない。

看護士はお母さん世代のしっかりしたベテランが多い。医療現場の主体だからだ。こういった看護士を確保するために、病院には保育所、学童保育所が併設されており、夜間勤務にも備えているという。ヘルパーさんに、屈強な若者がかなりいる。この病院には野球部があり、社会人野球の強豪だ。高校を野球一筋ですごし、さりとて、プロ野球や大学野球には手の届かなかった子の就職先になっている。午後に野球の練習をする時間が与えられており、夜は準看護学校に行って将来は看護士を目指すらしい。

病院の経営は幾つもの介護施設を運営している法人だ。普通の病院は外来からはじまるのだが、こういった病院では施設から体調不良で送り込まれる患者が多いから、外来患者がいなくとも十分経営が成り立っているのだろう。外来が空いているのも不思議ではない。ヘルパーさんや、看護士の人材確保を含めてなかなかの経営手腕だと思う。医師から見て魅力がないのは仕方がないところだ。

開業医のところで待たされるくらいならこういった老人病院のほうがいい。一応、検査機材も揃っているから対応も早い。重篤な病気でなければ老人病院も悪くないのだ。僕の肺炎も、一週間で大体回復して、明日には退院となる予定だ。


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