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「耳が聞こえにくい」という問題 [療養]

いろいろと悪いところがあるのだが、難聴もそのひとつだ。中耳炎がなかなか治らず、聴力が低下してしまった。加齢も重なっているだろう。コミュニケーションが取れずに困ることが多い。

難聴の最大の問題は誤解されることだ。普通の人には聞こえていないことが理解できない。「言ったのに無視された」「説明しても理解力がない」と思われることがむしろ普通だ。対人関係は確実に悪化する。聞こえないことをはっきり言えばいいのだが、何度も聞き返すのがいやで、つい生返事をしてしまう。「ボケ」と思われる。連れ合いだって「なんで一日中怒鳴り続けなくちゃいけないの」「補聴器をつけてよ」と不満を漏らす。

補聴器は眼鏡のように効果がはっきりしたものではない。確かに音は大きくなるのだが、明瞭度が悪くなる。音は聞こえても、何を言っているかの識別はかえって悪くなることもあるくらいだ。補聴器さえつければ聞こえると思うのは健常者の誤解でしかない。

難聴には、音を神経に伝える機構が劣化した伝音性難聴と、神経機構そのものが劣化した感音性難聴があるが、大抵両方が混合している。感音性難聴の場合は「聞き分け」が難しいのであり、これは音が小さいことだけが問題なのではない。もちろん、音が大きくなれば「聞き分け」にも役立ちはする。しかし、「聞き分け」は、機器の性能だけで決まらず、「慣れ」とか「訓練」も大いに効いてくる。これが、補聴器の選択を難しくしている。

最近の技術の進歩は目覚しく、補聴器の性能も格段の進歩を遂げている。その最大のものは、デジタル化である。難聴は、すべての音が同じように聞きにくくなっているのではなく、加齢では大抵高音が聞こえにくい。高音成分が聞きにくいと「はぎれ」が悪くなる。だから、高音領域を特に増幅してやるのが良い。アナログ回路でこういった処理は大変だったが、デジタル化してコンピュータ処理(DSP)をすることで、いろいろな音域ごとに増幅度を設定することが出来るようになった。音域をチャンネルに分けるのだが、チャンネル数が多くて細かく調整できるものが高級な補聴器と言うことになる。高いものは100万円もする。

問題は、このような細かな調整をどのようにするか、またどれだけ役に立つかだ。「補聴器は調整が大切です」「認定技能士が調整します」「機種よりも調整できる店で買うことが大切です」といった宣伝が多い。しかし、これは補聴器を売るためであり、「他社で買った補聴器を有料で調整して見違えるような性能にします」と言う店は一軒もない。

調整の中身は、チャンネル毎に利得を上げ下げするだけのことだ。オージオメータで色々な高さの音を聞かせて、それを補正する設定が基本で、あとはさじ加減ということになるが、それがどれだけの効果を持つかは疑問だ。杖の長さは調整する必要があるが、ミリ単位で調整することにどれだけ意味があるかというのと同じだ。技能士の教科書を見てみたが、なんの事もない調整とは関係のない医療の基礎知識が書いてあるだけだ。

一番安いデジタル補聴器は2万円くらいで手に入る。一般的な、高音を強める設定になっており、調整はできない。100万円のものは、これをさらに細かく個人差を入れて設定できるが、実のところ比較して見てもその効果は、はっきりしない。付け心地、リモコンなど便利な機能だけで88万円を払う気はしない。かといって聞こえの悪さを放置しておく訳にも行かないから困ってしまう。

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