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退院 硝子体手術 [療養]

退院しました。日本語環境も回復。

白内障の手術をして、感激的なほどよく見えるようになったのだが、それもつかの間で、見え方は次第に劣化しだした。これは特に驚かない。後発白内障というのは、多くの白内障手術に見られる「取り残しの増殖」であり、レーザーで取り除ける。そう理解していたのだが、右目の様子は、どうもちがう。昆布のような黒い影が現われ、何本もゆらゆらとゆれている。そのうち直るかと2ヶ月ほど待っていたら、昆布は細くなり、からまって、網目のようになってきた。当初は、網目の隙間から見ることが出来たのだが、そこがすりガラスのように曇ってきた。これでは、ぼんやりとしか見えないことになる。左目は普通に見えるから実生活には差し支えないようなものだが、実に鬱陶しい。

眼科の先生は、レンズの奥、網膜との間にある硝子体が濁っていると言う。濁りが不均質になって境界部分で屈折率が変わるのが、黒い影になるのだそうだ。硝子体を構成するゼリー状の物質は、循環して、絶えず入れ替わっているから、一時的な濁りなら、2、3ヶ月で自然になくなる。ところがこれが、半年たっても無くならない。絶えず濁りが注入されていることになる。硝子体を覆っているブドウ幕が炎症を起こしているとか、リンパ腫の影響だとかが考えられる。見た感じではどうも、そういったものとは少し違うような気がするということで、先生も頭をひねっていた。先輩先生に相談に行っても良くわからない。

ブドウ幕炎ならステロイド注射が効くので、やって見ようということになった。目玉への注射だから、結構恐怖感がある。意を決してやってもらったのだが、結果は何の効果もなかった。眼底に何かあるのかも知れないが、濁っていて見えない。そこで、ともかく硝子体を取り払って、眼底を良く見て見よう。取り出した硝子体を分析すれば濁りの正体がわかるかも知れないということになったのが、今回の硝子体手術だ。

硝子体手術は、割とよく行われているらしい。網膜はく離とか眼底出血の場合、硝子体を取り除いてレーザーなどで治療する。直径0.5mmのカッターを差込み硝子体を切って吸い出す。吸い出した後を水で埋めるための注入口と照明のために合計3本の針を刺すことになる。よくそんな細かな技が使えるものだと感心するが、これは全部ハイテク機材のなせる技である。眼科は、今やマイクロマニピュレータの世界になっている。

手術のために一週間の入院となった。何年か前の間質性肺炎の急性増悪に比べれば随分気楽なものだが、それでもやはり、入院は嫌なものだ。目の手術で一番の問題は「咳」である。目に針を突き刺した状態で咳き込めばどうなるか、考えただけでも恐ろしい。幸い最近は大きく咳き込むことはないが、それでも時々咳は出る。消毒とか麻酔とかあって、本当に咳をしてはいけないのは15分くらいだが、この間何とか咳払いをせずに我慢するのはなかなかつらかった。出そうな咳をぐっとこらえる。しばらくするとまた咳が出そうになる。これの繰り返しだ。

無事に手術を終えて退院となった。変な昆布や網目は消えて、すっきりとした視野にはなったのだが、結局、眼底には何の異常も見えなかった。濁りは、謎のままである。ということは、またあの昆布が、近々復活するという可能性が高い。気持ちは、釈然としないのだが、眼前の光景はうれしい。ともかく今はすっきりと見える。見えているうちに、どこか空気の澄んだ所に行って美しい星空を見てみたいと思っている。
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